カテゴリ: オーディオ

 パイオニアのラジカセといえば、ランナウェイシリーズが有名で、現在でも高い人気ですが、音響メーカーが作ったものだけに「音」へのこだわりのある商品が多いのではないかと思います。
 「ラジオカセットテープレコーダー」略して「ラジカセ」を商標登録しようとしたメーカーがパイオニアだったというネット上の情報がありますが、AIWAやSONYなどと並んで個性的なラジカセを送り出したメーカーでもあります。
 今回紹介する「SK-1」はまだ「ランナウェイ」シリーズが登場する前のステレオラジカセ黎明期の商品だと思われますが、情報が少なく詳細は不明です。
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 1978年にSK-6とSK-7という商品が発売されていることから1976-1977年頃に発売されたのではないかと推測されます。
 また、本体の上部には「CETREX」というロゴが印字されており、初期のパイオニアラジカセのニックネームではないかと思われます。
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 SK-1は基本的にシンプルなAM-FMステレオラジカセですが、特徴的な機能として、外部入力に「PHONO」端子がありセレクターでも「PHONO」が選択できる点です。
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 つまり、ラジカセにレコードプレーヤーを接続して聴けるということです。
 最近発売されているレコードプレーヤーは初めから「フォノイコライザー」が内蔵されているものがあるので、外部入力の「LINE」に直接接続してもレコードが聞けますが、元々レコードプレーヤーをアンプに接続するには通常の「LINE」端子ではなく、フォノイコライザーがある「PHONO」端子に接続しなければならなかったのです。
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※カートリッジがMCタイプの場合は、専用のトランスなども必要な場合があった。

 つまり、このラジカセは始めからレコードプレーヤーを接続して聴くことができる設定になっていたということです。
 この頃はまだCDが発明されていない時期だったので、レコードの音をラジカセで録音するには、一度、一般的なステレオコンポのカセットデッキなどで録音して聞くか、スピーカーから再生された音を直接ラジカセの内臓マイクで録音するしかなかったので、レコードプレーヤーがあれば、端子をラジカセに直接接続して録音できるというのは画期的なことでした。
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 現に同世代のラジカセではオプションで専用のレコードプレーヤーを接続できることをうたった製品もあったぐらいです。
 また、シャープなどはラジカセにレコードプレーヤーを合体させた超大型ラジカセを発売したぐらいですからレーコードプレーヤーが直接接続できることがどれだけ凄いことかわかっていただけるのではないでしょうか。
 このSK-1ですが、発売からすでに40年ほど経っているので流石にボリュームなどの接触があまり良くなく、ガリや接触不良がありましたが、何度かボリュームを回したりして何とか普通に聞くには問題ないぐらいになりました。
 スピーカーはフルレンジでトーンコントロールとバランスつまみしかありませんが、必要にして十分なレンジの音が鳴ります。
 見た目よりもちゃんとした音が出てくるのはさすがにパイオニア製品だなと感心しました。
 なお、当時のパイオニアのステレオラジカセはヘッドフォン端子がミニステレオタイプではなく太い標準タイプなのも特徴です。


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 先日、ソニー初のラジカセ「CFM-8120」を入手いたしました。
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 何と発売は、大阪万博の開催された昭和45年6月です。
 すでに46年の年が経過しています。
 ちなみに私はこの年、小学校に入学しました。
 我が国初のラジカセ(当時は「ラジカセ」という言葉も生まれていなかったが)は、後にソニーの子会社となり、現在はブランドがなくなってしまったAIWA(アイワ)が昭和43年に作ったとされています。
 それに遅れること約2年、当時トランジスタラジオやテープレコーダー(オープンリールとカセットを含む)の世界をリードしていたソニーが満を持して発売したのがこの「CFM-8120」です。
 正面はカセットホルダーとスピーカーのみで、操作ボタンやスイッチ、ラジオの目盛などは本体の上側に集中的に配置されていて、今見てもスタイリッシュなデザインといえます。
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 当時、ソニーではコンパクトカセットテープレコーダーの製品を「マガジンマチック」と総称しており、この機種の愛称もソニーの製品仕様資料には「マガジンマチックEM-R」と表記されています。
 あくまで私の憶測ですが、「EM-R」の「EM」はエレクトリックコンデンサーマイク内臓のことで、次の「R」はラジオ付ということなのではと想像します。
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 また、製品番号の最初の「CFM」というのも特殊で、この後に登場するラジカセでは「CF-1300」と1970年代のソニー製ラジカセの型番「CF」を使っていますが、この機種に限っては、その後、モノラルラジカセとステレオラジカセを区別するために1980年代から使用された「CFM」を使っているので、ある意味では先を見越した型番だったのかなと思います。
 さて、このラジカセの特徴は、まず、裏側の左右二つのフタがあることです。
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 左側が内蔵する乾電池室のフタで、右側が内蔵しているACコードの収納用となっています。
 初期のソニー製ラジカセでは、4つ穴の特殊なACコードを使用していて(CF-1400やCF-1500など)このコードを手に入れるだけでも一苦労なので、ACコードが内蔵されているのは大変助かります。
 次に、拡張用の端子類ですが、上から外部マイク端子、マイク用のリモート端子、外部入力端子(AUX IN)、イヤホン端子となっています。
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 そして、この機種ならではの操作方法がとても面白いのです。
 まず、ラジオを聴く場合は、ボリュームを適当な位置に回します。このボリュームにはスイッチがついていて、音量を最小にするとカチッと音がしてラジオの音が聞こえなくなります。
 この位置の時は、内臓マイクでの録音に切替となります。
 スイッチを回した状態で、ラジオ&録音ボタン(赤いボタン)を押すとラジオが聞こえ、ラジオを聴いている状態で、再生ボタンを押すとラジオの録音ができます。
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 文字で書いているとややこしいのですが、赤いボタンは普通のラジカセの「録音」ボタンと「ラジオ切替」ボタンを兼ねていて、内臓マイクで録音するときだけ、ボリュームを最小の位置にして内臓マイクを使用可能にするという特殊な操作方法となっているのです。
 これに関連して、通常のストップボタンには「停止」の他に「ラジオ・オフ」という役割が記載されているわけです。
 この操作方法は慣れるまでちょっと戸惑いますが、中々考えられた方法なのかとも思います。
 ただ、この機種以降は今使っているラジカセの操作方法に統一されているようなので、ラジカセ黎明期の試行錯誤の表れかと思います。
 さて、製造から46年も経過しているこのラジカセですが、幸いにもラジオのAM・FMはもちろんのこと、カセットの再生・録音もちゃんと作動しました。
 さすが、アナログ時代のソニー製品しかもオイルショック以前の製品は頑丈に作られています。カセットから音楽が出てきたときにはある意味感動モノでした。
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 蛇足ですが、このラジカセはテープ使用時(再生・早送り・巻き戻しのすべて)にオートストップができないので、注意が必要です。
 初期のソニー製カセットで、リーダー部分がアルミ箔みたいになっているテープだと終了時にアラーム音が鳴るエンドアラームという装置はついているみたいですが、該当するテープが無いのでかくにんはできませんでした。
 最後に性能ですが、ラジオはAM・FMとも高感度で受信できます。当時のソニー製ラジオ、イレブンシリーズの回路を使っているのではないでしょうか?
カセットについてもモノラルではありますが、芯のしっかりした厚みのある音が聴けます。
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 残念ながら内臓マイク・ラジオの録音については、音は録音できるのですが、レベル設定がうまくいっていないのか、小さな音でしか録音できないのが難点でした。
 まあ、録音は別の機種で行えば良いので何の問題もないのですが…
 私のコレクションの中でも、ソニーの初物製品ということで今後も楽しみたいと思います。


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 最近テレビやラジオなどで、記録媒体としての磁気テープやカセットテープの復権が話題となっています。
 かくいう私も未だにカセットテープは100本以上所有しています。
 テープがあっても録音再生する機械が無くては意味がありません。
 オーディオコンポーネントとしてのカセットデッキは数台所有していますが、5年ほど前に某オークションにて落札した「SONY TC-K333ES」の調子が良くなく、すでに数年間放置されていました。
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 購入時は「作動するも難ありで安定しない」ということでした。
 まあ、格安での落札だったので動けば見っけもん的に使っていましたが、さすがに1年も使わないうちに電源を入れてもスイッチ類がまったく反応しなくなり、録音再生が出来なくなりました。
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 タイマープレイの状態で電源を入れると再生するので、キャプスタンのベルトやグリース類の固着などの持病ではないことは確認できます。
 ボタンのマイクロスイッチの問題かとも思いましたが、10分ぐらい再生しているとスイッチ類も反応することがあります。
 まったく原因追求が行き詰りましたが、ネットで似たような症状があることを発見したのでとりあえず上蓋をはずして、スイッチの基盤からメインの基盤に伸びている各コネクターを抜き差しして接触不良など無いか確認しました。
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 この作業をして電源を入れるとなんとすべての動作が可能となりました。
 ケーブルの接触不良?意外な結果でした。
 しかし、考えてみればこのカセットデッキ1984年の発売ということで、すでに30年選手です。
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 金属の表面に皮膜のようなものが出来ていても不思議ではありません。
 前のオーナーは分解した形跡も無く、内部も埃などほとんど無い状態でしたし、キャプスタンのベルトもそこそこテンションがあり、とても30年経過したようには見えないほど綺麗な状態でしたので、大切に使われていたようです。
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 このまま元気に動いてくれるといいのですが、当面は、様子を見ながらだましだまし使うようになりそうです。
 すでに部品の調達も難しい品物です。たとえ部品取り用の予備機を用意しても部品が使えるかどうかは??です。
 古いオーディオは自動車のクラシックカーのように気を使いながら使い続けることに味があるのでしょうね。
 ボタンひとつで何でも出来てしまう現代、アナログ的な手間のかかる機械もそれを扱うこと自体が楽しみなので良しとしておきましょう。

SONY TC-K333ES \79,800(1984年発売)
モーター リニアBSLモーター×1  DCモーター×1
SN比 56dB(EIAJ)
     60dB(Dolby off、ピークレベル、メタルテープ)
     73dB(Dolby NR C)
周波数特性 25Hz~19kHz ±3dB(EIAJ、メタルテープ)
周波数範囲 20Hz~20kHz(EIAJ、メタルテープ)
ワウ・フラッター   (EIAJ) ±0.06%Wpeak    0.04%WRMS
歪率 0.5%(EIAJ)
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 26W
外形寸法 幅430×高さ105×奥行330mm
重量 6.2kg


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 今回は、前回のSONY製ラジカセCF-1160に続き、やはりオークションにて入手したステレオラジカセCFS-7です。
 このラジカセは1981年のグッドデザイン賞を受賞した製品です。

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 CF-1160同様つや消しブラックの渋いボディですが、このほかにもシルバーやブルーなどの色もあったみたいです。
 CFS-7を語る上で兄貴分であるCFS-10を語る必要があるようですが、こちらはネットでもいろいろな方が書いているようですので興味のある方は検索してみて下さい。
 このラジカセを手に入れたときは大分埃まみれで電源を入れるまで作動するかどうか半信半疑でしたが、いざ電源を入れてラジオ放送を聴いてみると、小型のボディからとは思えないほどしっかりとした音が出てきました。
 加えてうれしい誤算はカセットがちゃんと再生できたことです。

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 最低限ベルト交換は覚悟していましたが、古いカセットに有りがちな音のふらつきも少なく、聴取に十分耐えうる音でした。
 この時期の小型ステレオタイプのラジカセはサンヨーのU4シリーズが有名ですが、後発のSONYとしては機能面でも音でも凌駕できる商品だと思います。
 さすがにサイズ的に低音は貧弱ですが、中高音はソニーらしくメリハリがある音です。
 特にAM放送については当時のラジオシリーズで定評のあった「ザ・感度」シリーズの技術も使われているようで、本体脇にはAMの感度切替やISS切替のスイッチまで付いており、ノイズの少ない高感度の受信が可能です。

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 FM放送についてもステレオ受信は当然ながら当時のテレビ音声(1~3チャンネル)受信が可能なワイドバンドなので、今話題のAM放送のFM波サイマルキャスト放送も楽しめます。
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 このCFS-7も見かけによらず重量はずっしりと重く、音質重視の設計となっています。さらに、小型のラジカセに似合わず拡張性も豊富で、外部マイク入力、外部スピーカー出力、ライン入・出力、そして標準サイズのヘッドホン端子は2系統準備されています。

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 これだけの端子がこの小さなボディーについているとは驚きです。
 今どきのミニコンポ(アイパッドのドックなど)真っ青の内容です。
 まあ、デジタルだとUSBあれば何でも繋げますが・・・
 いずれにしても、このCFS-7も前回のCF-1160などとともに黄金期のSONYを代表する製品のひとつといって過言ではないでしょう。



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 先日、ネットの某オークションにて落札したSONY製ラジカセCF-1160です。
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 名機として知られるCF-1150の後継モデルで、キャリングベルトが金属製のハンドルになり、キューマーカーの機能が追加されています。

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 資料によると昭和51年(1976年)1月21日発売となっています。

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 今からざっと40年前の製品になります。
 大きさは、写真でもわかるように幅と高さがカセットテープ約2個分とコンパクトです。
 しかし、この当時のSONY製品らしく、手抜きは一切ありません。
 この小ささなのに重さは2.3kgもあります。

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 手で持つとまさに「ずっしり」とした重量感を感じることが出来ます。
 また、機能的にもラジカセとしての基本的な機能に加えて、ウォークマンなどの携帯型カセットプレーヤーが装備していたアンチローリングメカも内蔵しており、持ち運びながら聞いても音がふらつかないと言う機能も内蔵していました。
 ソニーのお家芸ともいえる「軽薄短小」のうち重さだけは重たい製品ですが、その重さがかえって小型スピーカーの貧弱な音質を少しでも改善している思われますし、何よりもこの重さが、当時の定価39800円の裏付けとなっているのでしょう。
 ちなみに当時の大卒初任給はやっと10万円のラインに届く水準でしたから、この価格が小型のラジカセとしてはいかに高価な商品だったかを物語っています。
 残念ながら、カセットについては、現在ベルトが伸びきっているため不動ですが、開腹して何とか復活しようと考えましたが、小型がゆえに中身はラッシュアワーの車内なみの密集した回路配置となっていて、おいそれと分解してベルト交換とは行かないことがわかりました。

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 また、アンチローリングメカが付いているので単純にモーターからフライホイールへのベルトを交換するというわけには行かないことも分かりました。
 当面は、ラジオ専用機として活躍してもらいます。
 それにしてもこのラジカセの塗装はつや消しのブラックでなかなか渋いです。

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 いつ見ても昭和50年代から60年代にかけてのソニー製品の完成度の高さは他のメーカーを寄せ付けない魅力がありますね。


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