カテゴリ: カメラ

 前回は、黎明期のデジカメとしてニコンのクールピクス100をご紹介しましたが、今回はフジフィルムの低価格デジカメ、クリップ・イット(CLIP-IT)シリーズのDS-10を紹介します。
★フジフィルムが発売した液晶画面無しの低価格デジカメDS-10。レンズには「TV-FUJINON」と書かれている。
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★裏側にはコントロール用(メニューや撮影枚数のみ表示)の液晶があるが、撮影した画像を見る液晶は無い。
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★以下、フジフィルムのニュースリリースからの抜粋です。
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FUJIフィルムから1997年5月に発売されたデジタルカメラ。
DS-10は撮影画像再生可能な液晶ディスプレイを搭載せずに小型軽量化した低価格モデルで、同時に消費電力が抑えられたことで単3形のアルカリ乾電池など電池2本(DC 3V)での動作を実現している。
CCDも35万画素(記録解像度は640×480ドット)で、単3型アルカリ乾電池で連続250枚の撮影ができ、2MB容量のスマートメディアでは標準モード約30枚、ファインモードで約22枚の記録ができる。
【主な仕様】
記録方式:JPEG準拠
CCD:正方画素原色全画素読み出し方式35万画素
感度:ISO 150相当
ホワイトバランス:固定(5500K)
撮影範囲:70cm~無限遠
外形寸法:112(W)×66(H)×40(D)mm
重量:160g(電池含まず)
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 今となっては、当然といえる液晶画面をつけずに、昔ながらの透視型のファインダーのみで当時問題となっていた液晶(特にバックライト用の)による電池のモチの悪さを解消すると共に、低価格化をしたということです。
逆にその場での撮影した写真が確認できないため、デジカメなのにフィルムカメラのような使い方を強いられるものでした。
 ただ、今のように何ギガバイトというメモリーは無く、標準モードの2MBで30枚しか撮影できないというのはまさにフィルムをメモリーに置き換えただけのカメラといえるのかもしれません。
 それだけ、慎重にシャッターが切れますし、明らかに失敗した撮影の場合はその場で消去も出来るので、より効率的にメモリーが使えるというのが特徴かもしれませんが、何よりもバッテリーの持ちがいいのが最大のポイントです。
 初期型のカシオQV-10などはアルカリ電池で電源を入れたまま撮影していると、肝心な時にバッテリー切れなんてことがしょっちゅうありましたから、当時は呼びの電池は必ず持ち歩いていました。
 黎明期のデジカメのウイークポイントは奇しくも現在のスマホの問題点と同じバッテリーでの使用時間が短いという共通の点がある意味時代は繰り返されているのだと実感させられます。
 撮影した画像は、ビデオ用のCCDを改良・補正して撮影していますが、とりあえず前回紹介したニコンのクールピクス100のように増し書くな画像ではなく640*480のVGA画像で記録されます。
 お世辞にも良い画像とはいえませんが、当時としてはホームページ用の掲載写真ならば何とか使えたと思います。
 
★DS-10で撮影した画像。
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 このDS-10、今まともに使う人はいないでしょうが、使うためには記憶媒体としてスマートメディアのカードが必要です。
 現在は、CFとSDカードに集約された記憶メディアも当時はメーカーによって何種類も存在していました。
 しかもこのスマートメディアは規格が何度か変更されたため、作動電圧が3Vと5Vの2種類存在します。
 裏表の造りが逆になっているのですが、幸いこのDS-10はその過渡期に生まれた機種のため、どちらのメディアにも対応しています。
 
★各社ごとに発売されていたメディアの競争では早々と撤退したスマートメディアを使用している。
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 しかし、すでにパソコンで読み込む場合のアダプターは中古でし可手に入らず、私の持っているカードリーダーでは3V駆動のメディアしか読み込みできませんでしたのでこの辺も注意が必要です。
 もしかしたらカメラ本体よりもカードリーダーやメディアの放送局がプレミアがついて高いものになっているかもしれません。念の為。
 
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 本日ご紹介するのは久しぶりにカメラです。
 今までフィルムカメラを中心にご紹介して来ましたが、本日はデジタルカメラです。
 普通のデジカメなど紹介しても面白くないので、黎明期のデジカメをご紹介します。
 トップバッターはカメラ界の雄「日本光学」ニコンが1996年頃に発売したクールピクス100というデジカメです。
 
★ニコンが一般向けのデジカメブランドとして発売したクールピクス100
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 1995年に「ウインドウズ95」が発売されて以来、わが国でもパソコンの普及が急速に進み、会社などでも1人1台体制が徐々に構築され始めた頃の発売です。
 当時、ニコンではSONY製などのビデオカメラ用CCDを利用した業務用のデジタルカメラを製造していましたが、一般向けのクールピクスシリーズとしては、1996年に発売されたCOOLPIX-100が初の製品となると思われます。
 
★本体の上部の写真。撮影枚数表示用の液晶や各種の設定ボタンが並ぶ。
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 すでに先行するカシオのQVシリーズやフジフィルムのクリップイットなどとの差別化の意味もあったのでしょう、本体が縦長でPCカードメモリーと一体となった面白い形をしています。
 
★本体のカバー(電池室を兼用している)を外すとPCカードメモリーが出現する。
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 また、この頃からノートパソコンによるモバイルカードなどが普及し、外出先からノートパソコンで書類や原稿を送信するようなことができるようになったことから、写真を撮影して面倒なケーブルなどの接続無しに、ノートパソコンのカードスロットに本体を差して即送信できるというのはある意味画期的なカメラだったのかもしれません。
 今となっては、当時の何百倍もの解像度で撮影した写真をそのまま携帯電話やタブレット端末からブログ等に直接送信できるのですから便利になったものです。
 画質については、現在では子供用のおもちゃのデジカメのほうがよっぽど良い写りをしていますが、さすがはニコンの製品です。当時、各社は少しでもコストダウンをするため、色々な機能を省いていたにもかかわらず、この製品ではストロボやマクロ撮影、赤目防止機能、セルフタイマーなど一通りの機能は備えていたので、一部の報道関係者や海外出張が多いサラリーマンなどのハードユーザーも結構使っていたようです。
 
★ファインダーを覗いたところ。薄い黄色の補正ラインの画面が正方形に近いのが分かります。
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 残念なのは、ビデオ用のCCDを改良して使用していたため、画像の縦横比がほぼ正方形になることです。
 今となっては、逆に6×6cmのブローニー判のカメラで撮影したようなレトロ感がありますが、当時としては高性能なCCDはビデオ用しかなかった時代なので仕方がないですね。
 この後、各社からデジカメ専用のCCDが次々に開発され現在では1000万画素を超えるCCDを搭載したコンデジが数千円で買えるという時代になりました。
 
★クールピクス100で撮影したサンプルです。
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★パソコンのPCスロットに差すと、リムーバブルディスクとして認識されます。容量は約1MBたらず。
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ニコン・クールピクス 100 (E100) 仕様
CCD:1/3インチ33万画素、正方格子型全面読み出し方式
画素数:512×480ドット
レンズ:焦点距離6.2mm(35mm換算52mm相当)、F4、固定焦点
マクロ:レバー切り替え式
撮影距離:標準 0.65m~無限大/マクロ 14~23cm
ストロボ:内蔵
メモリー:PCMCAカードメモリー方式、容量約1MB
 
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 本日ご紹介するカメラは、アイレス35(Ⅰ型)です。
 
★今は無きアイレスカメラが最初に作った35mmカメラ
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 アイレスカメラと聞いてもどこの国のメーカー?と思われる方も多いと思いますが、れっきとしたわが国日本のメーカーでした。
  昔々と言っても第2次世界大戦が終わって焼け野原となった東京が現在のように復活する以前の話です。
 戦後の日本は、「ブリキのおもちゃ」や「まめカメラ」などを生産して占領軍の兵隊たちのみやげ物や貴重な外貨獲得のすべとして町工場のような小さな工場で多種多様なメーカーがいろいろなものを作っていました。
 そんな中で、戦後の混乱もやっと落ち着いてきた頃にカメラの世界では二眼レフカメラがブームとなりました。
 四角い暗箱にフイルムを送る装置と、ファインダー用のレンズと実際に撮影するレンズが縦に並んだもので、ピント合わせは箱の上にあるファインダー(多くは摺りガラス)で行い、シャッターと絞りは手動でお天気によってだいたいの勘に頼っての撮影でした。
 わが国の二眼レフを作るメーカーはある文献によるとアルファベットでメーカーの名前を並べてみるとA~Zの全てあるのではないかと言われるぐらい中小のメーカーがひしめき合っていたと言われています。
 そんな中でアイレス写真機製作所は1950年(昭和25年)8月に創立されました。
 このアイレスと言うメーカーは6cm×6cmの二眼レフのアイレスフレックスを発表し、人気となりましたが、カメラ業界にその名を残すことになったのは、この会社に元海軍出身の技術者が入社したことから始まります。
 戦時中は、双眼鏡や大砲を撃つときの距離を測る測距儀(レンジファインダー)は陸軍が東京光学(後のトプコン)そして海軍は日本光学(ニコン)が担当していたことから、アイレスでは当時まだ自社ブランドのカメラの生産をしていなかったニコンに二眼レフ用のニッコールレンズの製作を依頼し、後にも先にもニッコールレンズを付けた唯一の二眼レフを作ったのがアイレスカメラでした。
※後にニコンはキャノン向けの35mmレンジファインダー用のレンズなども生産していた。
 その後は、自社ブランドのコラールレンズやオリンパスのズイコーなども取り付けたモデルもありましたが、カメラマニアの間では国産の二眼レフカメラにはあまり評価が高く無いのですが、このニッコール付きアイレスカメラの二眼レフに限ってはドイツのローライ等と共に別格の扱いとなっています。
 二眼レフブームはその大きさや取り扱いの不便さなどから沈静化し、代わってフィルムの改良で小さなネガからも質の良い写真がプリントできるようになってきたことから、次第に35mm(ライカ判)カメラの生産に移行しました。
 アイレスカメラの35ミリカメラの第一号がこのAIRES 35(Ⅰ型)になります。
 
★上からのショット何となく巻き戻しのダイヤルがオリンパスワイドにも似ています。
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 まだまだ、現在のような精密加工技術が普及していなかった1954年(昭和29年)6月に発売されたアイレス35Iは、レンジファインダーの無い目測式のカメラでした。
 
★レンズは自社製のコーラル45mmF3.5、シャッターはセイコーシャラピッドで1/500まで
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 レンズはコーラル45mmF3.5、シャッターはセイコーシャラピッドで1/500のシャッターが切れるのが特徴です。
 
★フィルム室内はいたってシンプル。もちろん電池なんて入りません(笑!)
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 この後も、アイレスカメラではとても個性的で魅力のあるカメラを生産しましたが、工場が火災で全焼し事業継続不能に陥り、残念ながら1960年(昭和35年)に倒産してしまいました。
 
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 久しぶりのカメラネタです。
 ペンタックス愛好家の私としては、以前から憧れの一台でした。
 ペンタックス(旭光学)の設立60周年を記念して、製作それたファインダー交換式のプロ仕様の一眼レフです。
 これまでペンタックスSPを始め比較的大衆機を製造していた旭光学が5年の歳月を費やし設立60周年に当たる1980年に満を持して発表した製品で、後にも先にもペンタックスの35mmフィルムカメラとしては唯一のプロ仕様カメラです。
 
★ワインダーを装着したLX
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★巻き戻しノブにASA感度設定と露出補正ダイヤルが、その脇に「LX」の白いロゴが輝く
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 基本的にはK2やMEなどと同じ絞り優先式の電子シャッター付きのAE機ですが、このLXに搭載されているシャッターは低速側(4秒~1/60)を電子式、高速側(X=1/75~1/2000)、バルブをメカで制御するハイブリッドシャッターとなっており、万一電池が無くなっても、高速側のシャッターとX、Bは使用できるようになっていました。
 また、足しようの雨にぬれても大丈夫なようにボディは防滴仕様となっており、信頼性を高めています。
 
★巻き上げレバー側にシャッターとスピードダイヤルのオーソドックスな配置。
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★クロのボディに「PENTAX」の白いロゴ
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 ファインダーもペンタックスの35mmカメラではこのLXだけが交換式となっており、合いレベルファインダーのほかウエストレベルファインダーや通常のアイレベルファインダーからストロボホットシューと絞り値読み取り光学系を省いたすっきり三角頭デザインのFA-2というファインだがありマニアの間では本来のペンタックスのデザインに近いことやカタチがすっきりしているため、人気となっている。
 
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 オート露出では、最長125sまでの長時間露光が可能となっており、多彩なフォーカシングスクリーンとともに、天体撮影などには重宝された。
 私のlxは近年オークションで手に入れたが、ウレタンの劣化でサブミラーが貼りつきぎみでシャッターを切ってからしばらくして元の位置に戻ると言う訳ありだったため、格安で購入できた。
 
★今回装着したレンズは人気のパンケーキSMC-PENTAX-M40mm/2.8
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 ウレタンの張替えなど整備して現在は普通に使用できるようになっている。
 また、このLXは20年以上現役機として販売されたため、製造時期により「初期」「中期」「後期」の3タイプに分かれていると言うが、私の所有するのは「初期」タイプである。
 
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最近はめっきりフイルムカメラも見かけなくなってしまった昨今ですが、今年の米国アカデミー賞にて日本のフジフイルム科学技術賞を受賞したと言うニュースを見た。
しかも今の映画界ではほとんどがデジタル化されて映画館に配信されているにもかかわらず、受賞したのはフジフイルムが開発した画像の長期保存用の「フイルム」だと言うのが「ミソ」。
私たちの生活にも浸透して現像もいらずにその場で撮影した画像が確認でき何かと便利な画像のデジタル化。
写真に限らず、映画や昨年は日本のテレビ放送も地上波とBS共にデジタル化されてしまった。
今さらアナログの「フイルム」がなぜ科学技術賞なるものを受賞したのか。
 
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実は、デジタル化されたデータを保存する場合、保存したメディアの劣化や再生するハードディスクの急速なモデルチェンジにより、保存された映像情報を再生できなくなるリスクが伴い、万能ではないそうなのだ
確かに、ウインドウズ95を使っていた頃はデータの保存はフロッピーディスクが主体だったが今発売されているパソコンにはFDドライブなど付いていないし、今では生産もしていないようだ。
CDもDVDになり今はブルーレイと言うように上位互換は保っているが、昔保存したCD-Rのデータも保存状態が悪かったり直射日光に長時間当てていたりするとデータが読めないこともある。
そんな中で、「映画」という「文化遺産」を長期にわたって保存し、後世に伝えていくには「ローテク」と思われていたフイルムでの保存(モノクロ銀塩)が一番良いというのが結論だったらしい。
しかも今回の受賞に値する技術は、カラー画像の3色分解(セパレーション)を行い、安定した黒白画像(銀像)として記録するためのアーカイブ用フィルムで、レーザー露光によるデジタルレコーディングに特性を最適化し、優れた写真性能(シャープネス・粒状性など)を実現するとともに、黒白ネガ現像・ポジ現像のどちらにも優れた処理安定性を有しているという。理論的には500年の保存が可能と言うからすごい。
コダックなき後、世界の映像界を支えていくのは日本の技術力になりそうだ。
 
 
 
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